北越紀州製紙は5日、台風12号による被害で紀州工場(三重県紀宝町)とグループ会社の紀州造林の熊野川工場(和歌山県新宮市)の敷地内が浸水したため、操業を停止したと発表した。紀州工場は1階にある電気系統の被害状況を確認後、操業を再開する予定。生産設備は2階にあるため、被害はなかった。製品在庫にも被害はなく、在庫出荷は行っている。
大きな被害が出ている三重県南部で樹脂製品や金型を製造する熊野精工(三重県熊野市)は、台風12号の影響で、本社周辺の第1―第4工場に水が入り込み、5センチメートルの床上浸水となった。生産設備には影響はなかったが、5日朝から社員が工場に入り込んだ泥水を処理するなどの対応に追われた。6日から工場は稼働するものの、同県の尾鷲方面に向かう主要道路の国道42号線が土砂崩れで復旧のめどが立たず、部品供給に支障が出ている。
紀陽銀行は奈良県中部から和歌山県南東部を流れる熊野川の氾濫に伴う被害で、5日の本宮支店(和歌山県田辺市)の業務を臨時休業した。約1メートルの床上浸水を受け、店舗設備や事務機器などが使用できない状況にあるという。周辺の道路も冠水や土砂災害の影響で寸断されており、同支店の営業再開のめどは立っていない。
奈良県を地盤とする南都銀行は5日、台風12号の影響を受け、奈良県南部エリアの2営業店などを臨時休業した。川上支店(川上村)が土砂災害の影響で立ち入り禁止区域内にあり、大塔代理店(五條市)は周辺道路が土砂崩れで通行不能となっている。また店舗外の十津川村役場内キャッシュコーナー(十津川村)も臨時休業した。
営業再開については「道路の復旧状況しだいで、現時点で何ともいえない」(総合企画部)としている。同行は対策チームを立ち上げており、取引先の影響も含めて情報収集に当たっている。
豪雨が集中した和歌山県周辺に立地する住友金属工業の和歌山製鉄所(和歌山市)では被害はなく、通常操業を続けている。合金鉄メーカーの日本電工徳島工場(徳島県阿南市)でも、強風により工場の瓦が飛ばされたり、敷地内の植木が倒れたりしたものの被害は軽微にとどまった。
瀬戸内海を横断した台風12号が3日午後に上陸した岡山県倉敷市。三菱自動車水島製作所は事前に影響を避けるため同日に乗用車生産ラインは通常6時半の操業開始を11時半に、軽自動車と商用車の生産ラインは通常8時10分のスタートを11時10分に遅らせる措置を講じた。それによって生じた減産分は月内の残業で挽回する。5日は通常通りに操業した。
KBKエンジニアリング(岡山県倉敷市)は自社工場への被害はなかったが、5日朝に東京に到着する予定のプラントメンテナンス向け部品が、山陽自動車道の通行止めにより1日程度遅れる影響が出ている。
【企業庁、災害復旧貸付を適用】
経済産業省・中小企業庁は5日、台風12号で災害救助法の適用を決めた三重県と鳥取県の中小企業向けの支援を始めた。日本政策金融公庫と商工中金による災害復旧貸付を適用。両金融機関と信用保証協会は借入金の返済猶予などの条件変更、貸し出し手続きの迅速化などに応じる。小規模企業共済契約者は中小企業基盤整備機構が原則、即日で低利融資を実施。融資やその他の相談に応じるため両金融機関や商工会、商工会議所、中小企業団体中央会などが特別相談窓口を設置した。
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