円安により諸資材・燃料価格の上昇が見られる中、価格転嫁に苦慮している状
況が窺える。景気回復は足踏み状態が続いており、新政権の緊急経済対策及
び支援策への期待は大きいものの、中小企業への波及効果には時間がかかる
と思われ、先行き不安感は拭いきれない。
◇製造業◇
・繊維工業 =和装・洋装関連ともに動きが停滞しており、依然として先の見通せない状況
が続いている。円安が進行する中で、原材料の輸入生糸がどこまで上がるのか
見極めが難しく、値決めも進まない。
・出版、印刷 =年々、小ロット、短納期が増え続けているため、仕事量が減り続けている。
打開策を模索しているが、良案がなく苦慮している。
・鉄鋼、金属 =12月末から円安と株価の上昇があり、景気回復の兆しと捉えた企業もあ
るが、各企業の調査によると12月とほぼ変化はない。稼働日数が幾分少ないた
め、売上はやや下がり気味である。1月末での更なる円安、株価上昇で幾分か
の希望があるのではないかと思われるものの、一方で資金繰りが悪化してきて
いる。
・一般機械等 =急激な円安が進み輸入素材の価格の上昇傾向が認められ、懸念材料と
なっている。反面、大手製造業は円高を背景に輸入或いは海外生産に注力して
いたが、急激な為替変動による円安傾向が維持されれば見直しが求められる。
中小製造業もこれら流れの中、転換期に直面している。
・その他製造業=プラスチック製品製造業界では、足元の受注は減少したままで、依然とし
て持ち直しの気配はない。急激な円安は、原油・天然ガスの輸入価格の上昇に
より電気料金にはね返り、またプラスチック原材料高のコスト高をもたらす副作
用が懸念される。
◇非製造業◇
・卸売業 =繊維・衣服等卸売業界では、和装・洋装・寝装ともに売上は苦戦している
が、特に振袖商戦で和装の落ち込みが激しい。化学製品卸売業では、急激な円
安となり、メリット面があまり見えないが、諸物価の高騰で悪影響ばかりが出ている。
・小売業 =写真機等小売業界では、通販での送料無料、安売りが大きく響いており、業
界の景気は上昇する雰囲気がない。燃料小売業界では、円安、原油高の影響を
受け、元売各社の小幅な値上げ通知があったが、需要の低迷により転嫁できず
経営は逼迫した状況下になっている。
・商店街 =商店街の人通りは普段通りそこそこあったが、消費者の購買意欲はなかっ
た。自民党の政権奪還、安倍政権誕生、アベノミクスへの期待による円安と株価
上昇は見られたが、景気の回復はまだまだ遠く苦戦の年明けになった。
・サービス業 =旅館業界では、年始の利用者は若干増えたが、他の日はやはり利用者が
少ない状況である。情報サービス業界では、景況自体はやや上向きと感じるが、
本年夏の計画停電実施の有無により全く不況になる可能性があり、不安である。
・建設業 =消費税の駆け込みの先触れか、好転、増加は微増である。造園業界では、
景況は明るいムードになったが、造園業界に波及するのはまだまだのようだ。企
業間の売上高格差は広がる一方のように思われる。
・運輸、倉庫業=道路貨物運送業界では、正月明けの荷動きに元気が見られない。道路旅
客運送業界では、タクシーにおいて、時節柄天候(雪や低温等)により需要に変
化が見られるものの、大きな変動はない。円安により燃料価格が高騰・高止まり
しており、今後の経営への影響が懸念される。