京都府の景況 ー先行き不安感増すー
全体の景況 =東日本大震災の影響を受けた商品・原材料等の調達は、一
部では回復しつつある。しかしながら、多くの業界では納
期の遅れ、原材料不足や価格高騰、受注の減少、消費低迷
と、各業界を取り巻く経営環境は非常に厳しい状況にあり
先行き不安感は増している。
◇製造業◇
・繊維、同製品=震災・原発が先の見えない状況であり、伝統産業、特に高
価格帯のものについては全く見通しが立たない。洋装・和
装ともに、好転の兆しが全く見えていない。
・出版、印刷 =現在でも非常に悪い状況であり、これ以上の悪化はないと
思われているが、震災の影響を受け、今後の受注がさらに
厳しい状況になる模様。
・鉄鋼、金属 =自動車関連が引き続き悪い。電機・電子関係では、車載用
関連はまだ落ち込んだままだが、逆に、震災の影響による
特需で大幅に受注が増えた企業も多い。
・一般機械等 =震災の影響で入手が困難な状況にあった部材は、かなり改
善されてきている。一定の受注量は確保されているものの、受注
残が減少しており将来的な不安を感じる。大手製造業における海
外調達は震災後更に増加することが予測され中小企業における
グローバル展開は今後必須案件と思われる。
・その他製造業=製茶業界では、神奈川県の足柄茶の生葉から暫定基準値を
超える放射性セシウムが検出され、得意先からの要望により、納
品する茶については証明書を添付するよう要求される。プラスチッ
ク製品製造業界では、震災直後はサプライチェーン(原材料・部品
の調達、供給網)の寸断等の影響を受け操業度は落ち込んだが、
次第に持ち直しつつある。
◇非製造業◇
・卸売業 =機械器具卸売業界では、先行きを見透かせないため、機械設備へ
の投資を控えているお客様が多い。繊維・衣服等卸売業界では、東
日本大震災の影響については、まだ明確に答えは出ていない状況で
あるが、大きな打撃は避けられないものと考える。
・小売業 =自動車小売業界では、新車生産の遅れに伴い中古車の発生が少
なくなっており、良質の中古車が高値で取引され車検付軽自動車は
高騰している。家電小売業界では、東日本大震災で「節電」に関する
情報が流れ、省エネ商品に大変関心が集まり、エアコンは前月に引
き続き好調で高付加価値「省エネ」の高額商品が売れている。
・商店街 =先行き不安感が消費マインドをより冷え込ませているようだ。早い入
梅、台風2号の接近、5月の気温上昇が鈍く初夏の需要が低下した。
・サービス業 =旅館業界では、京都への修学旅行生は、ほぼ予定通りに来
ていただいている。個人旅行のお客様は20?30%程度減、外
国人のお客様は90%程度減となっている。情報サービス業界で
は、東日本大震災の影響による機材・部品の調達・流通は改善
しつつあるものの、数量的には確保できていない。
・建設業 =住宅資材の供給は、ほぼ回復してきたようだ。増改築需要の頼
みの綱は、耐震改修とエコの住宅改修といわれるが、京都特有の
とりつきの悪さもあり反応が悪い。住宅景気は停滞感が強い。
・運輸、倉庫業=運送業界では、昨年年末より軽油価格の高騰が続き、歯止めが
かからない状況である。また、震災の関係で自動車の生産が部品不
足、調達ができないなど影響を受け、全般的に輸送量が減少してる。
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